表紙の美麗なイラストと、オビの大プッシュに惹かれてつい購入。
<あらすじ>
秘密の任務を帯びた軍用列車が衝突事故を起こした。
混乱の中、咆哮をあげる謎の生物―
それを取り押さえんと帝国日本軍の秘密兵器が起動するのだが・・・・・・。
それから7年後の1939年のハルピンから物語は始まる!!(裏表紙より抜粋)
と、こんな感じのお話です。
しかし、この漫画を読んだ後に妙な読後感が残りました。何とも言えぬこの感じ。
よくよく考えてみたところ、行き着いた先は、「
ああこれ、エヴァの第壱話に似てるんだ」ということでした。
話がどう転がっていくのか不明瞭な上に、次々と飛び出す謎のワード・・・・・・。
ネルフとか使徒とかA.T.フィールドとか、よく分からん単語を聞かされたうえに、肝心のエヴァは出撃しただけで戦闘シーン無しでEDへ、というあの展開。
この漫画もそうです。
「神農」や「炎帝」などの、中国神話に関連するワード。
「金枝」や「パラケルスス」、「ナチス」というヨーロッパ関連のワード。
大日本帝国陸軍嵐山機関という謎の組織。
「渾沌」という異形の生命体に、「金剛蔵王」という何の目的で作られたのか不明なメカ。
大人に、国家に、一族に翻弄される子供たち。
そして、読後の何とも言えぬ、話が進んでいるのかいないのか分からない感じ。見えない話の終着点。
感じたものはあの寸止め感、置いてけぼり感に似ているんです。
あらゆる面白そうな要素を詰め込んで、今後の展開を浅読みするのも深読みするのも許しているあたりも、懐の深さという点でエヴァと共通しています。
また、出てくるワードが造語ではなく、実際にある言葉であるのもそうです。エヴァは聖書でしたが、こちらは中国神話です。(こういう時にウィキペディアって役に立つよなぁ)
そういう単語のオンパレードのほかに、エヴァでは登場人物のセリフが抽象的なのも印象的でした。特にキール議長とかね。
そこでこの漫画から(長めですが)少し、ナチスドイツの軍人さんのセリフを引用しましょう。
「あの極東の国はあらゆる花咲き乱れる百花繚乱の園を造りたいんだね。
でもね、地球の裏側で勝手にそんな事を始められたら、この世を操る悪い魔法使い達はどう思うだろうね。嵐を呼んでその百花園を台無しにしてしまうよ。
私が咲かせたいのは純粋な薔薇だ。
邪な嵐に決して散らされぬ、千年咲き誇る大輪の薔薇をね」う~ん、抽象的。悪い魔法使いって誰よ?
と、このように抽象的なセリフでも多様な想像を許しています。ホントに懐広いなぁ。
はてさて、この物語、どう進んでいくことやら。だれか予想サイトとかブログとか作ってくれんかなぁ。(他人任せ)
- 2009/04/23(木) 07:34:16|
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