支えきれない手の中の重み。
抱えきれないこの気持ち。前回、偶然とはいえ「幻想御手」を手に入れた彼女。
使えばレベル0の、無能力者の自分でも、力を手に入れて能力者になることができる。まさに夢のようなアイテム。
しかし、「簡単に能力者になる」というその夢はいともあっさりと破れてしまいます。
「幻想御手」の所持者の保護。
風紀委員の当面の目標を聞いた彼女は、とっさに手の中の音楽プレーヤーを隠します。
やっと手にした「能力」への足がかり。
学園都市にやってきたのは何故か?それはもちろん、超能力者になりたいがためでしょう。
そんな夢を、簡単に捨てられるわけも無く。
そして、母からのお守り。
心配しながらも学園都市に送り出してくれた母の気持ちに、やっと報いることができるのです。
しかし、現状において「幻想御手」を使うことは、風紀委員から犯罪者同然の目で見られることになるのと同時に、副作用が出てしまい、母の「あなたの身が一番大事」という願いを蔑ろにすることにもなりかねません。
音楽プレーヤーとお守り。
片手でもてあそべる、200gにも満たない重みが、今は、重い。
黒子と不良の戦いを見ていても、その気持ちは募るばかり。
ここで繰り返し画面に現れるカーブミラーは、その安全な位置にいながら違う場所を見るということから、レベル0の佐天が能力者たちを見るということの比喩にも思えます。
そして同時に、カーブミラーは、自分自身を映すことは絶対にできません。自分自身を見つめるということは、決してなし得ないのです。
自分の夢と良心がかかった天秤の、どちらに錘を載せるべきなのか。
我々視聴者としては、当然のように「使っちゃダメ」という風に思えるでしょうが、実際夢が叶うアイテムを手に持たされたら、自分の心の天秤など、直視することができるでしょうか。
カーブミラーは、違う場所を見るためのものであって、自分の周りを、そして何より自分自身を見るためのものではないのです。
しかし、佐天の前に、「夢」の方に錘を載せる要因が現れます。
佐天と街中で出会った友人3人組も、同じく能力のことで悩んでいる身。
自分1人では不安だけれど、
“同じ境遇の”仲間がいれば使える。それが、どんな結果につながろうとも。
抱えきれない気持ちは、分散すればいい。
この場面では、そういうことなのでしょう。
しかし、そこに「能力」を志向する心はあっても、それを制御する「ちから」への志向があるのかどうか。
夢を、力を手に入れた後の、心のありようについての考えがあるのか。
今回の話は、ちょっと落ちこぼれ気味の自分としては、どうしても佐天に感情移入するほかありませんでした。
なんとなく分かる気がするんですよね。下から上を見上げる気持ちが。
仲間がいれば、色々とできるような気も確かにします。
しかし、その仲間というのが、果たして自分に良い作用をもたらすのかどうか。
その仲間が、佐天の心に良い作用をもたらしてくれるのか。
おそらく無理でしょう。ここは、美琴・黒子・初春の3人組の出番となりそうですね。特に初春。
初春よ、佐天の心を何とか支えてやってくれという思いと、何か身につまされるような思いを感じながら、今回の話は終わらせてもらいます。
※ATTENTION!※今回のレールガン第9話の感想記事で、またも対決が行われる運びとなりました。
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自分が触れなかった黒子の戦闘描写とか、自分よりも深い考察をなさっている方が大勢いらっしゃいますので、ぜひご一読を。
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